ストレッチや筋トレをしても猫背が戻るのはなぜ?理学療法士が見る身体の使い方

ストレッチや筋トレをしても猫背が戻るのはなぜ?理学療法士が見る身体の使い方

姿勢は、頭部・胸郭・骨盤・足元など、全身の関係でつくられています

こんなお悩み、ありませんか?

背中の筋トレをしても、胸のストレッチをしても、気づけばまた猫背に戻っている。「姿勢が悪い」と言われて意識しても、続かない。ジムやピラティスのレッスン中はきれいに立てるのに、日常に戻ると、いつのまにか元の姿勢に戻ってしまう。両腕を真上に上げようとしても、耳の横までしっかり上がらない。

こんなお悩み、ありませんか?

  • ストレッチや筋トレを続けても、猫背は変わらなかった
  • 「姿勢が悪い」と言われ、正そうとしても続かない
  • 座っているとき、気づくと背もたれに背中がついている
  • もう何年も、同じ猫背とつき合っている

この記事を読むと、次の3つがわかります。

  • ストレッチや筋トレを続けても、猫背が戻りやすいのはなぜか
  • Tukipisteの理学療法士が、猫背の戻りやすさを「どこを確認して」「なぜそう考えるのか」
  • 「姿勢を正す」ケアと、何がどう違うのか

ストレッチや筋トレを続けても、猫背が戻りやすいのはなぜか

まず、前提をひとつ。

背中を鍛えたり胸を伸ばしたりしても戻ってしまう場合、筋力や柔軟性だけでなく、普段の身体の使い方や生活環境など、ほかの要因が関わっていることがあります。

猫背だから、背筋を鍛える。姿勢が悪いと言われたから、胸を伸ばす。たしかに、その直後は姿勢が良くなったように感じます。ですが、普段の身体の使い方や生活環境が変わらなければ、いつもの姿勢に戻りやすいことがあります。

これが、「鍛える→戻る」「伸ばす→戻る」をくり返してしまう背景の一つです。

猫背でご相談にいらっしゃる方の多くは、背中や胸の筋力・柔軟性だけでなく、次のような要因が関係していることがあります。
たとえば——

  • 胸郭(きょうかく=肋骨まわり)の動きにくさ
  • 首の動かし方が、胸郭の硬さを補うように働いていること
  • デスクワークや家事など、同じ体の使い方が続く生活環境
  • 疲労や睡眠の状態
  • 動作中の力の入り方のクセ

つまり猫背は、単一の原因で説明できるものではなく、身体の使い方・感覚情報・生活環境など、複数の要因が組み合わさって表れていることが多いのです。

Tukipisteは、猫背の戻りやすさをどう確認するか

理学療法士が動作を確認する様子(イメージ)

理学療法士が動作を確認する様子(イメージ)

Tukipisteは、理学療法士(体の専門職として国家資格を持つリハビリの専門家)が運営するコンディショニングラボです。当ラボの理学療法士は、整形外科分野での臨床(10年・20年)を土台にしながら、脳神経科学・分子栄養学・トップアスリート(五輪レベル)のコンディショニングまで学びを重ねてきました。

私たちは、いきなり施術を始めません。同じ「猫背」でも、戻りやすさに関係する要因を、次の3つの視点から確認することから始めます。

  • 神経・運動制御 — 身体から受け取る感覚情報をもとに、どこへ、いつ、どのくらい力を入れるかを調整する仕組み。近くの画面を見続けているとき、無意識に首が前に出ていないか。ここに普段のクセがあると、力を抜いていい場面でも、首や肩に力が入りやすくなることがあります。
  • 動きのクセ(身体操作) — 普段、無意識にどう体を使っているか。
    本来は胸郭が担う回旋・伸展の動きを、首や肩が引き受けていないか。
  • 身体機能 — 関節の動く範囲や、筋肉・組織の硬さといった状態。

なぜ、これらを分けて確認するのか。それは、どこに関係する要因が大きいかによって、取り組み方が変わってくるためです。動かし方に関係する要因が大きい方に、ストレッチだけを続けても戻りやすいことがあります。逆に、組織の硬さが関係している方に、姿勢を意識する練習だけを行っても、変化が出にくいことがあります。「猫背=背筋を鍛える」だけで一律に考えないのは、ここを確認しているからです。

私たちは、何かを断定して”治す”という言い方はしません。あくまで動きを確認し、使い方を整えるという視点で取り組みます。そのうえで、たとえば「胸郭の回旋の動きが少ない分、首が引き受けるように働いている可能性があります」というように、確認した内容を言葉にしてお伝えします。

その場だけ姿勢を整えるのではなく、日常でも無理なく使いやすい状態を目指す。私たちが大切にしているのは後者です。

座る・立つ・歩くの3態
姿勢は固定するものではなく、座る・立つ・歩くという状況に応じて変化するものです

身体の使い方を観察する体験

ここからは、視線や舌の位置といった、普段あまり意識しない条件を変えたときに、ご自身の身体の使い方がどう変わるかを観察する体験をご紹介します。

まず、研究で確認されていることと、Tukipisteの臨床で見られる反応について、先にお伝えしておきます。

現在確認できている研究からは、視覚情報や眼球運動が、立っているときの姿勢制御や身体の動揺と関係することが示されています。一方で、「遠くを見ると胸郭が開きやすくなる」「特定の眼球運動で背骨が伸びやすくなる」というように、特定の動きの変化まで直接証明されているわけではありません。同様に、舌や顎、頸部の位置や動きに関連を示す研究はありますが、「舌を上顎につければ首が動きやすくなる」と一般化できるものではありません。

Tukipisteの臨床では、視線や眼球、舌の位置など、条件を変えて同じ動作を行うと、動かしやすさや力の入り方に違いを感じる方がいます。これは研究で一般化された効果ではなく、施術や運動指導の中で確認してきた個別の反応です。違いを感じる方もいれば、ほとんど変わらない方もいます。

研究で確認されていることと、臨床で一人ひとりの身体に起こる反応は、同じものではありません。

研究は多くの人に共通する傾向を考える手がかりになりますが、目の前の一人に同じ反応が起こるとは限りません。一方、臨床で確認されたその場の変化も、それだけで原因や効果を証明するものではありません。Tukipisteでは、研究から得られる知識と、一人ひとりに実際に起きた反応を混同せず、両方を身体の状態を考えるための手がかりとして扱っています。

これからご紹介する体験も、どちらが正しい姿勢かを決めるためのものではありません。感覚入力の条件を少し変えたときに、自分の動き方や力の入り方が変わるかを観察していただくためのものです。

変化の有無には個人差があり、その場の変化だけで原因や身体機能を判断できるものではありません。

医療的な検査や診断ではないため、強く、大きく、繰り返し行う必要はありません。

行う前にご確認ください

痛み、めまい、吐き気、ふらつき、しびれ、視界の違和感などがある場合は行わないでください。

試している途中に不快な症状が出た場合は、すぐに中止してください。首や目、舌を強く動かす必要はありません。また、この体験は医療的な検査や診断を目的としたものではありません。現在、首・眼・口腔・顎などに症状がある方、めまいやふらつきが起こりやすい方、医療機関から運動や動作について指示を受けている方は、事前に医療機関にご確認ください。

体験 1:座ったまま、目の使い方を変えて上半身をひねる

  • 椅子に浅く座り、骨盤を安定させます。
  • 正面を見たまま、痛みのない範囲で、両腕を軽く組んで上半身をゆっくり左右にひねります(横に倒す動きでも構いません)。
  • ひねりやすさ、力の入り方、途中で詰まる感じがないかを確認します。
  • 一度正面に戻します。
  • 次に、軽く寄り目(より目)にした状態で、同じように上半身をひねります。
  • もう一度正面に戻し、今度は少し遠くの見やすい場所へ視点を合わせて、同じように上半身をひねります。
  • 「より目」の場合と「遠くを見る」場合とで、動かしやすさや力の入り方に違いがあるかを確認します。

「より目」にする場合と、遠くを見る場合とで、上半身のひねりやすさや力の入り方に違いがあるか試してみてください。違いを感じる方もいれば、ほとんど変わらない方もいます。強く寄り目にする必要はなく、軽く目を寄せる程度で十分です。

ここで確認したいのは、遠くを見ることや寄り目にすることが正しいということではありません。目の使い方という条件を変えたとき、自分の身体の使い方が変わるかを観察することが目的です。

なお、視覚情報・眼球運動と姿勢制御の関係については、立っているときのふらつき・姿勢制御を対象にした研究で示されていますが、座った状態での体幹の回旋・側屈のしやすさそのものを直接検証した研究ではありません。ここでご紹介している体験も、Tukipisteの臨床の中で、目の使い方の条件を変えると動かしやすさに違いを感じる方がいた、という個別の観察に基づくものです。

体験 2:見上げるときの、舌の位置を変えてみる

  • 椅子に座る、または安定した姿勢で立ちます。
  • 舌や顎に力を入れず、普段どおりの状態で、無理のない範囲でゆっくり天井を見上げるように首を後ろに動かします。
  • 動かしやすさ、首や肩の力の入り方を確認します。
  • 一度正面に戻します。
  • 舌全体を上あごに触れるようにしながら、軽く当てます。舌先だけでなく、舌全体が上あごに触れている状態にします。押しつけたり、力を込めたりする必要はありません。
  • 歯を食いしばらず、呼吸を止めずに、同じように無理のない範囲でゆっくり首を後ろに動かします。
  • 動かしやすさや力の入り方に違いがあるかを確認します。

人によっては、首の動かしやすさや力の入り方に違いを感じることがあります。一方で、まったく変化を感じない場合もあります。

この体験だけで、舌の位置が姿勢の原因だと判断することはできません。舌を上顎につけることを、常に保つべき正しい姿勢として勧めるものでもありません。身体の使い方には、普段あまり意識しない条件も関係する可能性があることを体験するためのものです。

※首を反らす動作に不安がある方、めまいや首の症状がある方、医療機関から首の運動について指示を受けている方は、無理に行わないでください。少しでも不快感があれば、その場で中止してください。

長野で当店にご相談いただく方の傾向として、デスクワークの時間が長い方ほど、体験 1 の目の使い方による違いを感じやすい印象がありますが、これは一つの目安に過ぎません。

まとめ:猫背の戻りやすさに、何が関係しているかを一緒に整理する

もし、これまで何を試しても戻ってしまっていたなら、それは”あなたの努力不足”ではなく、まだ関係している要因に気づけていなかっただけかもしれません。

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※本記事は一般的な健康情報をお伝えするもので、特定の症状の治療や効果を保証するものではありません。私たちはコンディショニングの専門であり、病気の診断・治療を行う立場ではありません。気になる症状が続く場合は、まず医療機関にご相談ください。

参考文献・参考情報

● Peterka RJ. Sensorimotor Integration in Human Postural Control. Journal of Neurophysiology, 2002.(視覚・前庭・体性感覚が姿勢制御に関わるという一般的な枠組みの裏付けとして使用。胸郭の伸展や猫背の改善効果を示すものではありません)

● Fujimoto K. Human upright posture control models based on multisensory inputs. Neuroscience Research, 2016.(同上の枠組みの裏付け)

● Lafleur D et al. The impact of eye movement on postural control depends on the type of oculomotor behavior and the visual task. Gait & Posture, 2023.(眼球運動の種類が立位姿勢制御・身体動揺と関係することを示す実験研究。胸郭の動きや猫背への直接的な効果を示すものではありません)

● 城野ら.眼球運動が立位姿勢制御へ及ぼす影響.理学療法学誌,2015.(同上)

● 厚生労働省 e-ヘルスネット(kennet.mhlw.go.jp)

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